私は、ソフトボールの公認審判員をしています。公認審判員になってかれこれ20年以上が経ちました。
きっかけは、一緒にソフトボールを楽しんでいた先輩に言われて何の気もなく受けた第3種公認審判員の認定講習会でした。「ルール教えてくれるんだ。」くらいの気だったと思います。
それが、認定を受けた後、先輩の審判にお古の審判服や用具を頂き、週末ごとに声をかけていただくようになり、気が付くと自分専用のマスクやプロテクター、レガースなどの用具を揃えていました。
身長が自分の半分もないような小学生の試合から、父親以上と言ってもいいくらいの年配の選手が活躍するハイシニアの試合まで、様々な試合を経験させていただきながら第2種、第1種の認定を受け、今では全国大会でも審判をさせていただけるようになりました。
審判員は、立場が相反する2つのチームの間で、一球一球、そして一つひとつのプレイをジャッジします。公正にジャッジすることは当たり前のことなのですが、そこは立場の相反するチーム間にいますから、きわどいプレーでは監督・選手から猛烈な抗議を受けることもあります。そして、球技場外にいる観客からヤジを受けることも良くあります。
地域のソフトボールリーグなどで競技に参加することはあったとしても、審判員をやりたいと思う人はそんなにはいません。それはやっぱり競技をしていた方が断然面白いからなのですが、中には「文句ばかり言われる審判なんてやるもんじゃない。」と思っている人も少なくは無いでしょう。
審判員を続けるうちに、そんな風に言われることにはどこか慣れっこになりはしましたが、それでも試合中には、選手が小さく首を傾げたり、ベンチでのひそひそ話や競技場外からのヤジが気になったりします。そうした声は、試合に集中していたとしても不思議と良く聞こえるもんなんです。
それでも審判員を続けたいと思えるのは、目の前に一生懸命にプレイする選手たちがいるからです。一方のチームの勝利のためではなく、一人一人の選手の納得のため、そして日々の練習や次の試合に生かされる良き経験となることを願って、一球一球、プレイのひとつひとつを見つめ、ジャッジとコールを続けているのです。